銀行パートとの出会い
将来は、何になるにしてもどうしても文学は学んでおきたいという希望で進んだ大学を卒業し、就職を考えたとき、私がつきたい仕事には資格が必要でした。
その資格をとるためには夜間大学へ通って単位を取得するのが一番の早道で、私は大学卒業後、迷わず夜間大学へ通う決意をしました。ところが、夜間大学に通い始めると昼間はすっかり時間が空いてしまいました。
夜間大学に通うのは一年間、その間の学費は自分で捻出しようと思っていたこともあり、私は空いている昼間の時間をアルバイトにあてることにしました。アルバイトなら毎日働かなくてもいいでしょうから、夜、大学で勉強をしても無理はかからないと思ったからです。
ですが、いざ大学を卒業して自分の都合のいい時間にアルバイトをしようとするとなかなかいいアルバイトが見つかりません。
結局、新しく始まった夜間大学の慣れない勉強に終われるうちにあっという間に4月が過ぎ、5月に入った頃、私は新聞でパートの募集を発見しました。
勤務時間といい勤務地といい私の都合にぴったりでした。仕事が終わればすぐに大学に通いたかった私にとっては勤務地こそ重要なポイントだったのですが、ちょうど都合のいい勤務先のパートをたまたま新聞で見つけたのです。それが銀行で振り込み業務だけを集中して行うというパートでした。
パートタイマーとはいえ、指一本で何十万、時には何百万というお金を動かすこの仕事はやはりとても神経を使う仕事でした。そのせいか、職場の空気もピリピリとしていてあまりよくなかった印象が強いです。
私は夜には学校にも通っていましたから、学校が夏休みに入ると気が抜けて過労で倒れれしまいました。病院に行っても原因は過労だとか貧血だとか言われるだけで原因がはっきりしませんでした。ただ、どこで見てもらっても大体がたぶんストレスでしょうねぇと言われました。
銀行での仕事は本当に一瞬たりとも気が抜けない仕事で、普段はともかく忙しい日は本当にみんな殺気立って仕事をしていて、打ち込み速度の遅い人は泣き出したりすることさえありましたから、夜間の勉強からくる過労というよりは仕事をしていたストレスで倒れたような気がします。
それくらい銀行の仕事は精神的にハードでした。女性ばかりの職場だったので人付き合いが難しかったというのもストレスの原因だったかもしれません。
勉強になったこと
勉強になったのは世間のお金の動きが見えたことです。選挙の時期になれば選挙のためのお金が動くのがまさに具体的な数字になって見えるのです。サラ金からお金を借りている人がいつ頃どんなふうに利息分を入金しているのかも知りました。
銀行員の父に、お金の流れが見えれば世間の動きが見える、だから銀行にいると世間の動きがだいたいわかるとよく話してもらいましたが、本当だなと思いました。ただ、私はあくまでもパートタイマーとして仕事をしていましたから、銀行の本当に大変な仕事の部分は体験していません。何億というお金を動かす正職員の皆さんを見れば、その仕事の大変さはうかがえましたが。
私はもともと違う仕事につくつもりで資格取得を目指し、昼間はパートで働きながら夜は大学へ通っていましたから銀行員になるつもりはなかったのですが、パートで少しだけ銀行の仕事をのぞいてみてますます自分に銀行員は無理だと思いました。父が働いている姿を見たり話を聞いたりしているだけでも大変な仕事なのだなと漠然と思ってはいましたが、実際に見てみると想像以上でした。やはり大金を動かすことが必要な仕事は精神的にとてもハードで大変な仕事です。それはたとえパートであっても例外ではありませんでした。
